事業承継とは?中小企業社長が知るべき基本知識

事業承継

経営を担ってきたあなたにとって、会社の「次」を考えるときこそ、事業承継とは何かを明確に理解しておく必要があります。中小企業では特に、後継者の有無や資産・技術・ノウハウをどう引き継ぐかが企業の存続を左右します。

気づけば時間が経過してしまってから準備を始めても、手遅れになりかねません。そこでこのページでは、事業承継とはどのような意味を持ち、なぜ今すぐ取り組むべきかを整理しておきます。

事業承継とは何か?概念と目的

事業承継とは、経営者が築き上げてきた事業を次の世代に引き継ぎ、会社を将来にわたって継続・発展させるための仕組みです。経営権だけでなく、ブランド、ノウハウ、顧客との信頼など、目に見えない無形資産も含めて引き継ぐことが重要になります。

語義として「承継」は形あるもの・ないものの両方を含むため、単なるポストの移動ではなく、事業の本質的な価値をどう受け継ぐかという視点が必要です。つまり、誰に引き継ぐかだけでなく、何を引き継ぐか、どのように引き継ぐかを総合的に考えることが、事業承継の成功には欠かせません。

なぜ中小企業では早期準備が不可欠なのか

中小企業の経営者は、日々の業務の中で多くの意思決定や実務を自ら担っており、会社の存続がその人物に大きく依存しているケースが少なくありません。そうした中、経営者の高齢化や後継者難が深刻化しており、準備不足のまま廃業に追い込まれる例も増えています。

事業承継とは、一朝一夕で完了するものではなく、後継者の育成、株式の分配、税金対策など、複雑な手続きと時間を要します。だからこそ、現役のうちから計画的に準備を進めることが求められます。自社の将来像を見据え、早い段階から戦略的に取り組むことが、持続的な経営につながるのです。

実践する上で押さえておきたいポイント

実際に事業承継を行うのかを考える際、まずは引き継ぐ対象を明確にすることが出発点となります。経営権や株式、設備などの物的資産に加え、経営理念や技術、人材といった無形資産も含まれます。これらを適切に次世代へ渡すには、明確なビジョンと段取りが必要です。

また、承継の方法にも違いがあります。親族に引き継ぐ「親族内承継」、社内の幹部に託す「従業員承継」、第三者に譲渡する「外部承継(M&Aなど)」と、方法によって準備すべき内容は大きく異なります。

さらに、事業承継には相続税や贈与税、譲渡所得税といった税制の知識も不可欠です。法律や制度の理解不足は、後継者への過大な負担につながるリスクもあります。だからこそ、多角的な視点での計画が求められるのです。